今回は、“肩関節投球障害に対する介入のポイント③~肩甲上腕関節の評価と推察・検証~”について書いていきます。

 
 

投球障害の中で、肩甲上腕関節が関与して起こる痛みのパターンは多岐に渡りますので、少し条件を加えテーマを絞ってお話していきます。

 

テーマとして、投球におけるトップの位置(ボールを上げた位置)を作る際や、加速期までに肩に痛みが出る場合を想定し、肩甲胸郭関節の機能不全よりも肩甲上腕関節の機能不全が優位であることを条件にします。

 
この条件とテーマでいくと、投球動作の腕を上げた時に痛みが出るのでインピンジメントが多いと感じます。何らかの理由で骨頭の動きに問題が生じ、関節内外でのインピンジメントが予測できます。
 

これを改善するには、骨頭の動きを適切な関節運動に正してあげれば改善すると思います

 
 

その適切な関節運動を獲得する為に、必要となるのが以下になります。

 

肩甲上腕関節ではじめに評価することは、適切な1stポジションが取れているかどうかです。適切な肩峰下スペースの確保と、適切な骨頭のアライメントが必要になります。1stポジションで崩れる場合、そこからの多方向への関節運動では求心位獲得は図れません。

 
 

簡単な評価として、肩甲骨を固定した内転制限の有無と、1stジションからの外旋可動域です。これをまず獲得していきます。

 

投球動作を意識した場合、上記のふたつを達成していても獲得したい機能としては不足しています。投球動作には、トップポジションを作る際にテイクバックという動作があります。選手により方法はことなりますが、多くの選手は肩関節伸展+内旋+外転の複合運動によりトップの位置を作ります。

 

ですので、テイクバック動作を模倣した関節運動を評価する必要があります。

 
 

投球障害の選手は、このテイクバック動作で適切な関節運動を保てない場合がほとんどです。肩甲上腕関節での可動域制限により、テイクバック動作における骨頭求心位保持が困難になり、肩甲骨の代償運動を引き起こします。多くは、肩甲骨挙上+前傾を伴います。投球動作における肩甲骨運動では上方回旋と後傾はかなり重要な動きになりますが、テイクバック動作時に、本来求められる肩甲骨の動きを制限しやすくしているのです。

 
 

それでは、これまでの流れをまとめます。

 

【評価】   主訴:腕を上げた時に痛い

肩関節アライメント:上腕骨前上方変位

肩関節可動域:内転制限+ 1st外旋制限+ 肩関節伸展・内旋位からの外転制限+

 
【仮説】

肩関節上方組織等の硬さにより1stポジションでの制限があり、骨頭のアライメント不良、肩峰下スペースの減少。後方組織の柔軟性低下から肩関節伸展・内旋制限を招き骨頭前方変位が助長され、外転時大結節が肩峰下に入り込む動きが制限され肩甲骨の挙上・前傾の代償出現。肩甲骨の上方回旋も阻害され、腕を上げた時にインピンジメント出現し痛む。

 
【検証】

検証作業としては、1stポジションの獲得と、肩関節伸展、内旋可動域の獲得、そこから外転可動域の獲得を図り、骨頭の動きを再評価します。肩甲骨の代償もなく上方回旋が促通されていれば疼痛も改善していると思います。

 
 
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。