前回は、股関節の安定化機構②として、股関節の安定化機構に寄与する靭帯系、特に腸骨大腿靭帯によって股関節伸展を制動していることをお話させて頂きました。

今回より数回にわたり、『筋肉による股関節の安定化機構』について配信します。

 

 

本日は、股関節深層筋の中でも、小殿筋の機能についてお話させて頂きます。

 

小殿筋は、中殿筋と同様に股関節外転作用をもつ筋肉で、腸骨殿筋面(中殿筋の起始部より下方)を起始とし、中殿筋の後部線維より深層を走行して、大腿骨大転子(前外側面)に停止しています。外転筋群の中の総断面積の20%程度で、中殿筋の筋力の約1/3というように、外転作用という観点から見ると、あまり重要視されないことが多いように思います。

 

 

しかし、小殿筋の作用を走行から考えてみると、外転作用以外にも、大転子を介して大腿骨頭を臼蓋に圧縮する作用があります。この小殿筋の作用によって、股関節を関節内に安定させることが可能となります。

 

 

さらに、小殿筋の深層線維の一部が、股関節の関節包上方に付着していると言われています。そのため、小殿筋の深層線維が肩関節の腱板と同様に関節包のエントラップメントを生じないように関節運動を誘導する役割も担っていると推察されます。

 

 

歩行周期では、【ICLR】において、股関節には内転方向のモーメントが発生します。そのモーメントに対して、股関節外転筋群の遠心性収縮によって骨盤と体幹を安定することができます。
 

また【MSt】においては、前額面での骨盤の側方傾斜も、小殿筋などの股関節外転筋群の遠心性収縮によって制御されます。

さらに、傾斜した後に骨盤が再び安定位に戻ると、外転筋群は遠心性収縮から等尺性収縮へと収縮形態が変わります

 

 

以上のことから、歩行における立脚相での股関節外転筋群の役割は重要です。

そのため、股関節の安定化機構を機能させるためには、小殿筋など股関節外転筋群が、様々な収縮形態に対応できるように、筋の滑走性の向上やOKCCKCのトレーニングを組み合わせてアプローチしていきます。

 

 

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。