今回は“下垂位における上腕骨頭の変位”についてお話させて頂きます。

 

肩関節に痛みを訴える多くの方に共通して存在するのが、上腕骨頭の変位です。 

骨構造から安定性の低い関節ですが、骨頭が求心位を逸脱し、さらに不安定となり二関節筋で安定性を

代償している状態が非常に多いと感じています。

 

その中でも多く感じているのは、上腕骨頭の上前方への変位です。 

肩峰と骨頭とのスペースが狭く、前方へ逸脱している状態ではC-Aアーチの下を大結節が通過できません。そのため、早期から肩甲骨の挙上で動きを代償します。

 

上腕骨頭の変位で方向から考えると、その状態を作っているのは上方と前方の組織です。組織自体は

筋・筋膜、滑液包、関節包靭帯と数多く存在しますが、中でも多く関与していると感じているのは

SSPと烏口腕筋だと思います。

SSPは僧帽筋下に存在するため滑走不全を起こしやすく、烏口腕筋は二頭筋短頭の下に存在するため、

SSPと同じように滑走不全を起こしやすいことが考えられます。

 

それぞれの伸張性ですがSSPは、1stポジションから外旋制限の有無、烏口腕筋は走行を考えると

軽度外転位から外旋制限の有無で、直接筋を触診し緊張の程度と抵抗感で評価していきます。

(烏口腕筋は内旋で伸張されるとも言われています。)

 

上記の筋に硬さがみられ、上腕骨頭の変位があるのであれば、筋のリリースを図ることで少なからず

改善はみられると思います。

 

上腕骨頭の上前方変位を確認するには、触診やX線で確認することが望ましいですが、徒手的に確認する

方法としては、肩甲骨を固定した状態で、上腕骨頭を下方へ引き抜く刺激を一度入れて確認します。

 

流れとしては、アライメント・stiff・可動域・動き方等を確認し、上腕骨頭の上前方変位が問題で

肩峰下に大結節が入っていかないと評価した場合、一度検証作業として上腕骨頭を下方へ引き抜く

刺激を入れて、もう一度再評価します。そこで大結節が肩峰下に入っていける動きが確認できたら

上腕骨頭の変位が考えられますので、しっかり筋をリリースしていきます。

 

ある程度、GHの可動性や動きを獲得しないと肩甲骨の代償が早期から出現しますので、その状態で

肩甲骨の動きを改善しようとしても出来ないことが多いです。GHで逸脱しなければ肩の問題は

起こらないと言われていますので、大切な事だと感じています。

 

本日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。