今回は、前回に引き続き“きちんと軸足で立つ条件”の解説をしていきたいと思います。

 

 

まずは、FHLの出力について。

 

 

 

前回、後足部が中間位に保持でき下腿の内旋可動域を確保することで脛骨荷重がしやすくなることを説明しました。

 

そこで、この荷重を維持するためにFHLの出力が必要になると感じています。

 

荷重をうまくコントロール出来たとしても、FHLが出力し母趾で底屈モーメントを生み出すことが出来なければ、安定しないばかりか、内側に乗り切れず、腓骨荷重にて代償してきます。

 

FHLは内果後方を通り、母趾へと走行します。FHL周囲にはFDLやTPなど、他の腱が多く存在し、腱同士が重なり合うため、滑走不全を起こしやすい部位だと考えられます。

 

また、そこは潜在的な腱の狭窄部位としても知られています。

 

FHL腱溝やFHL・FDLの重なる部位、母趾種子骨間がそれにあたるとされています。

この、内果後方から足底にかけての走行部位で滑走不全が起こることでFHLは出力しにくくなり、荷重の安定性を左右します。よって、FHLの出力が低下していると判断した場合は、滑走不全部位をリリースすることで筋出力の改善を図ることが大切だと考えます。

 

 

FHLの出力を維持・改善することが、脛骨荷重を安定させるポイントになると感じています。

 

 

 

 

次に、股関節の可動域について。

 

個人の荷重パターンにより、確保する方向は異なりますが、なるべく可動域は出していきます。しかし、全可動域の確保とはいうものの、競技特性など個別性があるため考慮しないといけません。ここでは、可動域と筋出力の関係でみていきます。

 

 

 

可動域制限が存在する部位は、筋の滑走不全が起こっていることが多く、筋出力に影響が出てきます。筋肉がしっかり伸びて、しっかり縮むことが出来ない状態。

 

 

つまり、筋出力が低下していることが多いです。滑走不全を改善し、可動域制限をとることで筋出力も発揮しやすい環境となるため可動域の確保は大切になります。

 

 

 

優先する可動域制限の改善は、股関節の屈曲・伸展の改善です。この2つがクリアされていない状態で、他の動きを改善しても、結果的に筋出力は戻ってこない印象があります。

 

 

 

股関節屈曲がしっかり行えることは、それだけ腸腰筋の働く環境が整っているということでもあり、伸展制限がないということは、内転筋の働く環境も整っているということだと思います。

 

 

 

荷重位前額面で考えた場合、重心位置に近い下肢内側に位置する腸腰筋・内転筋がしっかり働くことで、重心のブレを最小限に抑えられると思っています。その下肢内側筋の働きがあることで、骨盤前傾を獲得しやすく骨頭の被りが深くなり求心位保持がしやすくなるため、下肢外側に位置する中臀筋・小殿筋も働きやすくなると感じています。

 

 

 

最後に、逆側股関節の屈曲が代償なく行えることについて。

 

 

 

これは、ワインドアップ期において、逆側の股関節屈曲が代償なく行えることで、骨盤・腰椎での股関節屈曲の代償がなくなり、軸足の腸腰筋・内転筋の活動が促通され、安定性が高まると考えているからです。解剖学的に考えても、腸腰筋が働けば腰椎は安定すると考えられますし、逆側の腸腰筋は働きやすくなることが予測されます。

 

 

身体のイメージとしては、逆側股関節の屈曲で骨頭を引き込むことで、軸足股関節は下肢を長軸方向に押し込みやすくなる印象です。素早く股関節を屈曲し引き付ける動作も、同じように軸足で素早く踏み込む(押し込む)ことで達成されます。

 

 

また、下肢を長軸方向に押し込めるということは、カウンターとして体幹を長軸方向に伸展できるイメージがあります。

 

 

このことから、逆側股関節の屈曲が代償なく行えることは、軸足安定のために有益と考えます。