前回まで、足部を3つに分け、後足部・中足部・前足部は、それぞれの部位により役割があり、可動性・固定性の重要性についてお伝えさせていただきました。
 

今回は、過度の距骨下関節回内がもたらす腰部への影響についてお話しさせていただきます。

距骨下関節の回内は身体の衝撃吸収機構に必要な運動であるため、適度な可動域は必要となります。しかし、過度の回内は足部のマルアライメントに加え、足部より上位への機械的なストレスの一要因となりえます。

 

まずは、足部内の影響についてお話しします。

距骨下関節が回内すると、距骨は内転・底屈をし同時に踵骨は外反します。踵骨外反10°ごとに距骨が前方へ1.5mm転移するため、過度の距骨下回内は足底筋膜と前足部軟部組織に対し伸張ストレスを増加させる可能性があります。

 

通常の足部では、この距骨の前進運動は問題ありませんが、過度の距骨下回内に伴う距骨の前方偏移が舟状骨と第1-3趾列を第4-5列に対し、前方移動かつ外転させることになるため、この内側列の前方移動は内側の足底筋膜を伸張します。

 

そうすることで、足底筋膜の骨膜付着部に大きな牽引力をもたらし、足底筋膜炎や踵骨棘を生ずる可能性があります。

 

 

では、腰部への影響について説明します。

過度の距骨下関節回内は下肢を内旋させます。

このことは、梨状筋と腸腰筋の牽引力を増加させ、大坐骨切痕の狭小化をもたらします。このため、坐骨神経の絞扼を生じやすくなります

 

また、距骨下回内に伴い、下肢が下方に落ちるため、同側寛骨が低します。フライエットの法則に従い、L5椎体が機能的に短縮した下肢に向かって回旋します。その結果、腰椎は長い下肢に向かって側屈することで、真っ直ぐになろうとします。

このため、同側の椎間板の外側面が圧縮されてしまいます。

 

 

姿勢への影響にも大きく関与します。

過度の距骨下回内は大腿骨の内旋を招きます。過度の大腿骨内旋は、大殿筋付着部の緊張力を増加させ、この腱の慢性的緊張の原因になりえます。大腿骨内旋は、大腿骨頭を後方に転移させ、その結果、寛骨を前方へ傾斜させます。

 

それにより、腰椎前弯が増加し、腰仙角が増加します。そうすることにより、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、慢性的な腰痛を引き起こす要因となります。

 

 

そのため、上記のような場合、寛骨の対称性を得て、股関節周囲筋の異常な筋緊張を改善するためには股関節のアプローチだけでは改善にならず、足部への介入が必要であることが言えます。